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普段の暮らしをいきいき伝える「今和次郎 採集講義…考現学の今」(国立民族博物館)

 いやぁ、これも学問だったんだ。昔のことを調べて研究する「考古学」に対して、日常生活の細かな観察を記録し、新たな視点で魅力や問題を探る研究を「考現学」というのだそうだ。
 国立民族博物館、通称みんぱくで特別展示されていた今和次郎のスケッチの数々は、もう面白くて、楽しくて。例えば、「郊外風俗雑景」は「途上商人のいろいろ」とあり、洗濯屋、うどん屋など屋台や大八車、かごや背負子で物を売り歩商人が描かれている。「2時間歩いてみて当たった犬」というのは、黒、白、ぶちなど出合った犬の毛の色を描いて表にしている。そのほか、「おしめの文様」や「茶碗の割れ方」など、こんなものまで…と思うようなものを、細かく調べて描いている。つまりはデータ収集なのだが、絵で描くとともに、それがそのままグラフや表で表現されていて、調査の結果が一目見てわかる。そして、そこから人々の好みや時代背景、世相まで見えてくる。
写真ではなく、スケッチで集めているところがイイ。

  柳田國男らとともに日本各地から朝鮮半島まで農村住宅を調査し、民家や屋内の生活用具、周囲の自然環境を詳細にスケッチ。関東大震災のあとは、がれきからありあわせの材料でバラック住居を作り始める人々の様子を記録。さらに、建築家、デザイナーとしての活動。日常生活を考察する「生活学」「服装研究」などの領域に至るまで、今和次郎の採集仕事の数々は多岐にわたる。
 これらの展示と合わせて、岡本信也・靖子両氏の「超日常観察記」の興味深いスケッチやタペストリー、NHKの朝ドラ「カーネーション」で使用された衣装、京都の随筆家大村しげの家財道具なども展示され、盛りだくさんの内容だった。

 なんでもない日常の生活や暮らしのなかに、これだけいろいろな研究や仕事のネタがあるということに、あらためて気づき、「考現学」の面白さにはまってしまった。
 そして―。まてよ。私が普段よく描いている絵は、考現学になるんじゃないか…と思ってみたり。
身の回りの何でもないものを、なぜか描きたくなり詳細にスケッチしてしまう癖。これは考現学者になる素質ありか。何か意味や目的があって描いているわけではなく、趣味なのかもしれないのだが。
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区民運動会でもらった景品や
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ミスタードーナツでいつも選んでしまうお気に入りのドーナツなど。
こんな絵からも、そのときの時代や世相や流行まで考察できるとなると、これは面白い!
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by dodo-55 | 2012-06-19 21:45 | 作品展・個展

むろまち子どもクッキング(5月)

昨年からスタッフとしてお手伝いさせていただいている室町小学校での「子どもクッキング」。今年度最初のクッキングは、「おすしとおすまし」。5月18日は毎年、近くの上御霊神社のお祭もあり、祭りといえばお寿司でしょう…ということで、今回は自分で工夫して具を飾る「ケーキ寿司」だった。
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食材には春を感じるキヌサヤやウドも使用。キヌサヤのすじ取りをしているとき、「こすり合わせるとキュッキュッと絹をこすった音がするからキヌサヤと言います」と栄養教諭の先生が説明。へぇ~、知らなかった。勉強になるなぁ。

今回のクッキングでは、こんなことができるようになる。
 ・すし飯(合わせ酢)が作れる
 ・昆布とかつおのだしをとることができる
 ・おすましを作ることができる
 ・卵のそぼろが作れる
 ・キヌサヤのすじ取りができる。ゆで方がわかる
 ・にんじんの型抜きができる。ゆで方がわかる
 ・自分で型におすしを詰めることができる
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すし飯をしゃもじで「切るように」混ぜるのは、ちょっと難しかったかも。
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なんといっても、子どもたちに人気だったのは、卵そぼろ作り。私が担当していた班では、きっちり10秒計って交代で混ぜていました。菜箸を何本かまとめて握ってかき混ぜていたら、あら不思議。卵がポロポロになっていく~。そのようすが楽しくて仕方がないようす。
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型抜きしたあとのニンジンや、ウドの皮はスタッフがまとめて千切りにし、ごま油で炒めてきんぴらに。だしを取ったあとのいりこや昆布を佃煮にしたり、毎回、食材を無駄なく使い切るのも、このクッキングの素晴らしいところ。
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おすましには、香りのいいウドを。ウドなんて、家庭でもあまり使うことがない。「ウドって食べたことある?」と子どもたちに聞いてみたら、「あるよ」。へぇ~意外。「家でお母さんが使わはるの?」「家ではないけど、(この)クッキングで。去年も食べた」 なるほど…。
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鮭フレーク、卵そぼろ、キヌサヤ、型抜きニンジン。お寿司の具がそろったら、
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牛乳パックを切った型にラップをしいて、すし飯を詰め、上から好きな具を好きなようにトッピング。
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ひし形にして、キヌサヤやニンジンで顔を表現したり、
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なんと、ハート型にした女の子も。
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具をてんこ盛りにしているのは、野菜好きな子? どうしても野菜がいやで、卵そぼろしかのせていない子もいました。
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いただきます!!

今回の参加者には卵アレルギーの子がいなかったので卵を使用したが、卵がダメな子がいた場合、高野豆腐とニンジンをすりおろしたものを混ぜて使う予定だったそう。ほんとうに細かいところまで配慮されていて、毎回感心するし、勉強になる。
子どもたちもほんとうに楽しそう。
 次回は7月。テーマは「お抹茶とお茶菓子」。涼しげな琥珀かんを作る予定。
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by dodo-55 | 2012-06-16 17:22 | 食育

しみじみいいなぁ。芹沢銈介展

京都市文化博物館で開催中の芹沢銈介展をしみじみと見てきた。
初めて彼の作品を見たのは、静岡の芹沢銈介美術館で。もう10年くらい前になるだろうか。静岡へ出張中、静岡新聞社の方から「ぜひ見てください」と案内されたのだった。それまで名前すら知らなかったのだが、美術館自体の空間の居心地の良さ、作品の鮮やかな色使いとデザインに魅了され、芹沢ファンになってしまった。
2回目に見たのが、滋賀県のミホミュージアムで。この美術館も建物がすばらしいのだが、入れ物に負けない作品の存在感が印象に残っている。
3回目となる今回は、郡上紬の制作者である宗廣陽助氏のコレクション展。屏風、反物、のれん、染め絵など約100点が展示されていた。

特に今回の展示作品は、沖縄の紅型や民藝の香りがぷんぷんしていて、私好みのものばかり。作品紹介の文章に「柳宗悦の提唱する民芸の思想と出会い、沖縄の紅型の色使いに大きな衝撃を受け、自らの作風を確立した」とあり、どうりで…と納得。
沖縄土産や机まわりの文房具や本、農具や民具など、何気ない身の回りのモノをデザインした屏風などを見ては、そうそう、私といっしょやわ…などと、恐れ多くも型染の人間国宝を相手にしてその感性に共通のものを感じるという、ひそかなうれしい時間を楽しんだ。

芹沢銈介の作品は「いろはにほへと」などの文字や「春夏秋冬」などの漢字を染めたもの、「ばんどり図屏風」(「ばんどり」とはみのの一種。北陸中部地方の言葉)や「みのけら図屏風」に見られるような民具を染めたものなど、あまりにも日常すぎてデザインしそうにないものに美を見出して、独特の世界を作り出している。
これはまさに「日常的な暮らしの中で使われてきた手仕事の日用品の中に用の美を見出し、活用する」民芸運動ならではの感性だろう。

職人さんの使う道具や昔の日用品に妙に惹かれる私は、そういうモノを見ると「絵が描きたい」と思ってしまうのだが、これも民芸運動の影響?
何でもデータ化、バーチャルの世の中で、古くさいかもしれないけれど、リアルな形から感じる何か、愛しみの気持ちを大切にしていきたいと感じた。
どんなものでも、いいものはしみじみといいのである。
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by dodo-55 | 2012-06-01 17:57 | 作品展・個展