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冬の風物詩

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農園へ向かう途中、上賀茂で野菜の振り売りを見かけた。
大根、カブラ、ネギや葉ものが積まれている。今年は暖かい日が多いが、売られている野菜を見れば、「12月やなぁ」と実感する。
うちへ来るおばちゃん(なかちゃん)も、昔はこのような大八車を引いてきていたが、今は軽トラだ。
大八車はよく見れば結構長い。これを女性一人で引いて、町に売りに行くのだから力が要るだろう。
大八車は江戸時代初期から使われ、その名の由来は、八人分の働きをするから、古来車の多かった滋賀県大津の八町の名から、車台の長さが八尺(約2.4m)あるからなど諸説あるそうだ。(『絵引・民具の事典』/河出書房新社より)

以前、92歳まで大八車で花売りを続けた白川女の女性を取材したことがある。花売り稼業70余年を共にした車は、引退したあとも家の倉庫に大切にしまわれていた。おそらく、毎日手入れして、何度も修理したりタイヤを替えながら、大事に大事に使われていたのだろう。

野菜を売っていたこのおばちゃんと大八車はあと、何年見ることができるだろうか。
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by dodo-55 | 2010-12-14 09:49 | 京都

やっぱり、冬仕度

裏のお寺の桜の葉が紅葉し始めると、やっぱり物干台が淋しい。
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結局、母も私もどうにも物足らず、今年も漬けることにした。
上賀茂の農家のおばちゃんに電話し、大根50本を注文。
今朝、いつもの軽トラで届けてくれた。「昨日、商いが終わってから、抜いて洗ったんや」。
中澤さんなので「なかちゃん」と私たちが呼んでいるおばちゃんは、今年83歳。旦那さんが亡くなってからも一人で畑を続けている。母が嫁いできたころは大八車で、最近は軽トラを運転して週に1度、育てた野菜を売りに来る。
軽トラから下ろした大根を玄関へ運ぶ。「形の悪いのやら10本ほどおまけしといたしな」となかちゃん。
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「これだけ全部一人で抜いて洗って、その歳ですごいなぁ」と母も感心している。
「コレもおまけしとくし、漬けたらええわ」とくれたのは、日の菜と赤かぶ。
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とりあえず、大根を4回に分けて2階の物干台へ運び、せっせと並べた。
息子に手伝わそうと思ったが、もう、学校へ行ったあと。
今年の大根は、おちびちゃんや二股ちゃんが多い。
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何だか、電車の座席に座っている人のようにも見える。
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隣席の人にもたれかかってうとうとしている人。
窓の方を向いて、外の景色を眺めている人。
大根たちのおしゃべりが聞こえてきそう。
みんなそろって「漬物駅」に向かう電車の旅だ。
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by dodo-55 | 2010-11-16 21:56 | 家事・家仕事

漬物物語

「今年は大根やめとこか」と母が言った。
毎年11月になると、上賀茂から野菜を売りに来るおばちゃんから大量の大根を買って、漬物にしていた。
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毎年100本近く漬けていたのが、年々数が減り、それでも昨年は50本。
大量の大根を2階の物干し台へ運び、朝に並べて干し、夕方には軒へ入れて雨露にあたらぬようにシートをかぶせる作業は父が、干し上がった大根を樽に漬け込むのは母がやっていた。
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父の体調が悪くなってからは、大根干しは私の仕事になり、「コレがアノお漬物になるんやなぁ」と漬物大好きな息子も干すのを手伝ってくれていた。
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毎日毎日、寒風にあてて干し、水分がぬけてしわしわになったら(これを息子は「ばぁちゃんくらいになったら」と表現)、階下へ運んで庭の樽に漬け込む。
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母が足の手術をしてからは、重い漬物石をのせたり下ろしたりは、私の仕事になった。
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ぬかと塩に漬け込むと、しわくちゃばあさんのはずの大根から、さらに水分が出て樽に水が溜まる。そのたびに水分を取り除き、年末か年明けごろには、パリパリと歯応えのいい、わが家の味となり食卓に上る。

昔は家族全員がこれを食べ、父と母二人になってからも母は、嫁いだ娘たちに分けたり、漬物好きの友人やご近所さんにせっせと配っていた。
樽いっぱいの大根も、食べていくにつれて、樽底のものは発酵が進み、酸味をおびてくる。
「この、匂いと酸っぱさがいいねぇ」と、樽底の方が好きという昔ながらの漬物ファンもいる。

そういえば、最近の漬物は酸っぱくない。すっぱいのが特徴だったはずの「すぐき」でさえ、酸っぱくない。
親戚の漬物店のおばちゃんの話では「最近はすぐきが酸っぱいと、腐ってると思わはる」そうだ。
家庭で漬物を切るのも面倒がられるようで、すぐきもしば漬けも、酸っぱくなくて刻んであるものが良く売れるのだとか。

漬物を毎回食べる分だけ樽から出して、洗ってぬかを落とし、切って出すのは、ご飯仕度の忙しい合間にする作業としては、正直じゃまくさい。
それに、今はおかずもそろっているので、漬物などなくても十分ご飯が食べられる。

いくらおかずがあっても、母の作った漬物と梅干と塩昆布でご飯を食べていた父が亡くなり、保存食の一大消費者が減ってしまった昨年は、漬けた大根はほとんど人にあげてしまっていた。
「これでは、人にあげるために漬けているようなもんやしなぁ」と母と私。

寒い中でのめんどくさい作業がなくなって楽になるはずなのに、冬の家仕事がまたひとつ減ってしまい、たまらなく淋しい。
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by dodo-55 | 2010-10-29 10:49 | 家事・家仕事