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広がる・つながる“弁当の日” (1)

 4月4日、大阪で「“弁当の日”食育情報交換会」があった。
「むろまち子どもクッキング」つながりで、昨年より参加している「おむすびの会」。そのメンバーが企画され、“弁当の日”提唱者である竹下和男先生をはじめ、全国でさまざまな形で活動されている方々が集まり、情報交換するというもの。竹下先生の講演+9名の活動報告は5時間にわたり、午後からだし途中で寝てしまうだろうな…という予想を裏切る、熱い、濃い内容の会だった。
 
 (参加できなかった方のために、内容と感想をまとめました)

 <基調講演 竹下和男 「講演、私の流儀」>
 今回の参加者約60名のほとんどが、「弁当の日」の講演はすでに何度も聞いており、何らかの活動をしている人が多かったので、いわば弁当の日・上級者向けのお話だった。
 映像の活用、撮影技術、笑いと泣きの効能、リピーター対策など、「弁当の日」でつながった人たちが、講演や活動をしていくなかで参考になりそうな、講演の仕方について話された。
 
 先生が準備をされているとき、スライドに合わせた曲が流れるだけで、もう目がウルウルとなる。「弁当の日」を応援している方(佐藤弘さん、比良松道一先生、佐藤剛史先生、内田美智子先生)の講演のときは、いつもそうだ。“パブロフの犬”状態で、曲が流れるだけで、涙が出てくる。
 感心したのは、竹下先生が使用する曲と歌手名を必ず映像の最後に表記しているということ。著作権のことまでしっかり考えておられた。
 
 今回はじめて見たなかで印象的だったのは、「弁当の日」を広めようと活動中の全国の応援者を映したスライド。すでに講演を聞いたことのある先生方をはじめ、今回活動発表された方々、「元気ないのちをつなぐ会」の中山誠さんの顔も! みんなとてもいいい表情で、語る大人たちがこんなにいきいきとしていれば、子どもたちにも伝わるだろうなと思えた。すべて、竹下先生が撮影されたそうで、この日もスライドを見ている私たちを、パチパチと撮っておられた。(緊張するやん。寝てられへん! →これも作戦か?)

 それからもうひとつ。この映像には、やられた。(涙が止まらなかった…) 竹下先生の90代のお母様に送ったメッセージの映像。先生は、年間280日以上講演で全国を飛び回っておられるので、普段は奥様と息子さんがお母様の介護をされており、ご家族への感謝の気持ちも込めた内容だった。高齢でも元気でなんでもできたお母様が、だんだんできないことが増えていき、それでも、「そこにいてくれるだけで、いい。漬物石のように、ただそこにある(いる)だけで、役割を果たしているのだから」という言葉には、もう…。
 竹下先生のお母様と比べたら、まだまだ若く元気すぎて困るほどの、70代のわが母に対して、私は毎日文句ばかり言っている。自分のことだけでなく、私や息子のことにもついつい手が出る口が出る母に、「うるさい。ほっといて。自分でやるし」の言葉返しの日々。気をつけなければ…。
 夜の懇親会のとき、「あの映像には参りました」という人が多かった。自身も親の介護をされているとかで、やはり心に沁みた人たちが多かったようだ。
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by dodo-55 | 2013-04-11 12:56 | 食育

第2回モクモク全国食育交流フォーラム2012・講演(2)

ある女子大生が書いた作文が紹介された。
 
 大学入学が決まり、親と離れて下宿生活をすることになり、明日が引越しという日の夜。いつもは遅くなる父親も「今日は最後の晩だから」と早めに帰宅し、「今日は忙しかったけど最後だし、がんばって作ったよ」という母親の手作りハンバーグで、妹、弟と共に家族5人最後の食卓を囲むことになる。
ハンバーグはありふれたメニューだが、家族みんなが大好き。いつものありふれた食卓で、ハンバーグを一口食べたとたん、涙があふれて止まらなくなる。まさか泣くなんて思ってもみなかったのに、次々涙がこぼれる。「あれ?泣いてるの?あなたが泣くとは思わなかった」と言いつつ、もらい泣きする母。さりげなくティシュを差し出してくれる父。いつも通りふざけあいながら、ハンバーグを取り合いする兄弟。涙と鼻でグショグショになりながら食べ続けたハンバーグはとてもおいしかった。あの日の味は一生忘れないだろう…。というもの。

 ハンバーグを一口食べただけで涙があふれ出る。この女子大生は作文のなかで、「あのハンバーグにはすごい力があった」と言っている。けれど、すごいのはこの子の心。お母さんのハンバーグを一口食べただけで涙があふれ出るほど、この子のやさしい気持ちや親に対する感謝の気持ちが育まれていたということ。
 誰がこの心を育んでいたのかというと、お父さん、お母さん、兄弟も含めた家族。娘のことを思って早めに帰ってきた父親。忙しくてもファミレスに行くのではなく手作りでハンバーグを作ってくれるお母さん。「あなたのことが大事」と思わせてくれる両親がいたから。

このように家族とともに食卓を囲み、大切に育てられてきた子どもたちが大学生になり、母親がしてくれたのと同じように手作りの食事をしているかというと、そうではない。
今どきの大学生の食事の実態は……。

「何を食べましたか?」というアンケート調査の一部(2009年のデータ)

学生A 昼:食べてない 夜:コンビニ弁当 朝:食べてない
学生B 昼:おにぎりとブラックサンダー 夜:カルボナーラ・コーンスープ 朝:食べてない
学生C 昼:サラダ 夜:アイス 朝:食べてない
学生D 昼:イタリアンバイキング 夜:もみじ饅頭・ミルクティー・スナック菓子 朝:インスタントスープ・もみじ饅頭・スナック菓子
学生E 昼:マクドナルドでハンバーガー 夜:インスタントラーメン 朝:食パンとコーヒー
学生F 昼:パン 夜:パン 朝:パン
学生G 昼:学食でカレー 夜:ファミレスでねぎとろ丼 朝:コンビニおにぎり
学生F 昼:なし 夜:焼きラーメン 朝:アイスクリーム

 都会の大学、田舎の大学、私立、公立は関係なく、全国どこでもこんな感じ。
自炊をしている大学生はほとんどいない。
こういう大学生が社会人になり、急に料理ができるようになるか、結婚して子どもができるとできるようになるかというと、そんなことはない。
こういう若者が親になるとどうなるか。

 赤ちゃんの離乳食コーナーが充実している。
若いパパとママたちは、子どもにこの離乳食を食べさせる。
しばらくすると、赤ちゃんも自分で何でも食べられるようになる。大人と同じものを食べられる。そのとき、若い親たちは料理を作るようになるか?

 保育士130人にとったアンケート。「最近の保育園児の食生活で気になること、驚いたことは何ですか?」
・朝ごはんを食べていない子どもが多い
・朝ごはんにケーキだけ、シリアルだけ、果物だけ、プリンだけ
・朝ごはんにポッキー。1歳児の朝食がカップラーメン
・朝ごはんにみそ汁を飲んだことがない
・朝ごはんにパンを食べる家庭が4割
・朝食ぬきのせいか、10時のおやつをガツガツ食べる。昼食までもたない
・夕食に外食が多い。マクドナルドやファミレス、焼肉店など
・夕食にラーメンが何日も続く
・夕食がコンビニ弁当やファーストフード
・日曜になるとマクドナルドへ行きたがる
・子ども連れで21時すぎに居酒屋で食事をしている家庭がある
・外食の話が多い。1歳児のごっこ遊びにハンバーガー、ポテトなどの言葉が出てくる
・「一番好きな食べ物は?」と聞くと、「ラーメン!」と答え、そのラーメン屋さんの話で盛り上がっていた

 今どきの保育園児はこんな感じ。でも保育園児に責任があるかといえばそうではない。
問題なのは、この子たちの親。では、この親たちを責めて問題が解決するかといばそんなことはない。この親たちも社会が作り出した被害者。そうやって育てられてきた。
いい成績をとりなさいよ。いい大学に入りなさいよと言って育てられた。「お母さん、なんか手伝おうか」と子どもが言っても、「宿題すんだの?宿題を先にしなさい」と言われ、料理をするより家事をするより、勉強をする方が大事という価値観が生まれていく。親に言われるがまま、一生懸命勉強し、いい高校、いい大学に入り、自炊能力のまったくないまま親になっていく。
こういう親も社会が生み出した結果。だから親を責めているだけでは何の解決にもならない。でも何かを変えていかなければならないー。

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 佐藤先生は、最近の大学生や保育園児たちの食生活の現状を報告したあと、この現状を変えていくきっかけとして、「弁当の日」の取り組みについて話をされた。

 「弁当の日」は2001年に、香川県の滝宮小学校の当時の校長・竹下和男先生が始めた。
家庭科で調理実習のある5・6年生が、月1回の「弁当の日」に自分で作った弁当を持ってきて給食の時間にみんなで食べるというもの。
たった1校から始まったこの取り組みは、全国の小・中学校、高校、大学にまで広がり、2012年現在、実施校は1000校を超えた。

 「弁当の日」を始めた竹下先生が、「弁当の日」を卒業した最初の6年生に贈った言葉がすばらしい。

 ********** *****
   あなたたちは「弁当の日」を2年間経験した最初の卒業生です。
  だから11回、「弁当の日」の弁当づくりを経験しました。
 
 「親は決して手伝わないでください」で始めた「弁当の日」でしたが、どうでしたか。
  
  食事を作ることの大変さが分かり、家族をありがたく思った人は優しい人です。

  友達や家族の調理のようすを見て、技を一つでも盗めた人は、自ら、学ぶ人です。

  細やかな味の違いに調味料や隠し味を見抜いた人は、自分の感性を磨ける人です。

  旬の野菜や魚の、色彩・香り・感触・味わいを楽しめた人は、心豊かな人です。

  一粒の米・一個の白菜・一本の大根の中にも「命」を感じた人は、思いやりのある人です。

  食材が弁当箱に納まるまでの道のりに、たくさんの働く人を思い描けた人は、想像力のある人です。

  自分の弁当を「おいしい」と感じ、「うれしい」と思った人は、幸せな人生を送れる人です。

  シャケの切り身に、生きていた姿を想像して「ごめん」が言えた人は、情け深い人です。

  登下校の道すがら、稲や野菜が育っていくのを嬉しく感じた人は、慈しむ心のある人です。

  「弁当の日」で仲間が増えた人、友だちを見直した人は、人と共に生きていける人です。

  家族が手伝ってくれそうになるのを断れた人は、独り立ちしていく力のある人です。

  「いただきます」、「ごちそうさま」が言えた人は、感謝の気持ちを忘れない人です。

  家族がそろって食事をすることを楽しいと感じた人は、家族の愛に包まれた人です。

  先生たちは、こんな人たちに成長してほしくって2年間取り組んできました。
  
  おめでとう。

  これであなたたちは、「弁当の日」をりっぱに卒業できました。

********** *****  (『弁当の日がやってきた』竹下和男著・自然食通信社より)


「弁当を作る」ということを通じて、子どもたちは企画力、段取り力、自己管理力を獲得していく。

昔なら、家庭での家事や仕事などの手伝いを通じて、こういう力を自然と身につけていたのだが、今はその機会もほとんどない。

子どもには本来、自分でできる力があるのに、それをさせない大人たち…。

私たち大人が、考えて行動しなければいけないし、時間をかけて見守っていかなければならないようだ。




  
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by dodo-55 | 2012-03-30 17:00 | 食育

食べることは生きること「食育祭 in させぼ」(2)

1月28日に開催された「食育祭 in させぼ」の講演会のテーマは、「食べてつながる命、育つ心」。講師は九州大学大学院農学研究院助教の比良松 道一先生。研究室の女子学生が始めた「弁当の日」に参加し、食育に目覚め、専門の研究の傍ら、大学生が自ら弁当を作って交流する「大学生版・弁当の日」の実践をしている。

講演で聞いた話から ***********

小学生に質問。「朝ご飯を食べましたか?」
 ほとんどの小学生が「食べた」と答える。
「なんで、食べるの?」
 いろんな答えが出たなかで、「食べないと死ぬから」と答えた子どもが一人。
 「食べなければ死ぬ」ということをわかっている子どもたちがいない。今の子どもたちには、飢餓体験もない。「生きるために食べる」ということがわからない。飽食の世の中で、食育を考えていくことは難しい。

「この1週間で何㎏食べましたか?」
 小学生でも1日2㎏、1週間で14㎏は食べている。でも、体重が14㎏増えるわけではない。
「あなたが食べたものは、どこへ行きましたか?」
 1週間で15㎏食べたとして、便で6㎏、汗で3㎏、息(炭素)で6㎏体から排出されている。
 動物が吐き出した二酸化炭素を使って、植物が体を作り、それを動物が食べる。命はつながっている。
 「You are what you are」
 命とは、毎日、こわされながら、つくられています。命とは流れです。

大学生に質問。「日本の農業は大切ですか?」
 大学生の98%が「yes」と答える。
「なぜ、大切なのですか?」
 大学生は日本の食料自給率を気にしている。日本で育てられた米や野菜を食べなければいけないという思いはある。

「いつ、どこで、誰と、何を食べましたか?」(アンケートを実施)
 大学生の4割が自炊をしていない。4割が朝ご飯を食べていない。2割が大学に入ってからご飯を炊いたこともない。学食では定食(多品目を食べる)が売れず、丼物やうどん(単品)が売れる。

誰が日本の農業を支えているのか?(農家は日本人の3%)
この大学生たちは、小学校のころ、「早寝、早起き、朝ご飯」と教えられ育ってきたはず。
教育が「森を見て、木を見ず」であるから、いけない。

肉に注射針をさし込み、脂を注入するインジェクション処理した「霜降り肉」。
「やめられない、とまらない」のは、それがドラッグだから。
2年後でも大丈夫な(腐らない)コンビニのシュークリーム。死なない食品=「ゾンビ食品」という。
今の世の中には、こんな「食べ物」がいっぱい。

「何を食べるか」も大事だが、「どう食べるか」も問題。
大学生の56%が「一人で食べる」と答えている。
東京大学のトイレ内に「タバコ×、落書き×、食事×」という張り紙がある。 
「人に食べているところを見られたくないから」と、トイレで食べている人がいる…という事実!!

日本にはたくさんの捨てられる命がある。
日本人が1年間に捨てる食べ物は、2000万トン(福岡ドーム13個分)。
日本人が1年間に作るお米は1000万トン。

小学校の給食の残飯は、1割で優秀な方。ほとんどは、もっと多い。
残飯がゼロの学校は、月1回の家庭科の時間に「弁当の日」を実施していた。
 ※「弁当の日」とは、香川県綾川町立滝宮小学校に勤務していた竹下和男校長が、子どもと家庭に「くらしの時間」を増やすことを目的に、2001年から始めた試み。献立作りから、買い出し、調理、箱詰めまで、親は一切手伝わず、子どもだけで作るのが特徴。

「弁当の日」に、親が弁当を作った子どもは、弁当を隠し、自分で作った子は堂々と見せる。
誰かに見てもらって、みんなで食べた方がいい。子どもにあこがれを見せると、どんどん自分の力でやるようになる。小さい子どもはうらやましがり、小さいうちから練習しようとする。小さいころから「お母さん、教えて」と言うようになる。

大学生がおかず1品持ち寄りの「弁当の日」を実施。
大学生は「いただきます」の瞬間に、自分のだけが残ったらどうしよう…と思っている。だから、人のおかずをほめたり、レシピを教えあう。そして、「弁当の日」の感想文に、高校時代、毎日母親が弁当を作ってくれたことに対する感謝の言葉が綴られる。

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私が食について危機感を持ち始めたのは、10年ほど前。当時の大学生の食生活にショックを受けたからだが、10年経ってさらに状況はひどくなっている気がする。

私自身は、高校生のときまでほとんど料理をしなかったが、大学生のときの一人暮らしで鍛えられたと思う。当時はコンビニもなく、田舎だったので外食できるところも限られていて、自分で作るしかないという状況ではあった。おまけに、電子レンジもなく、冷蔵庫も冷凍室のない1ドアのものだったし、台所は下宿で共同。時間を工夫してどうにか毎日自炊していたものだ。
でも、今や、どんな田舎に行っても、コンビニも自動販売機もあるし、食べようと思えばいつでもどこでも食べ物が手に入る。

学生から始めていては遅いのかもしれない。幼児や小学生のうちから、きちんと伝えていかなければ、一生自分で作ることも、その必要性も感じないままに終わってしまうかも…。

「弁当の日」の取り組みとその後の子どもたちの変化については、『食卓の向こう側』(西日本新聞社)を読んで、西日本新聞社の佐藤弘さんの講演を聞いて、マンガ『玄米せんせいのお弁当箱』(小学館)を見て共感している。京都でも何とかして広めていけないかなぁと考えているところ。

食育は難しいし、すぐに結果が出るものではないのだが、できることから少しずつ始めていこうと思う。続けることで、広がっていくということは、今回の食育祭で実感できたから。
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これは、講演者の比良松先生が、「弁当の日」に家族と一緒に作ったもの。楽しそう!
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by dodo-55 | 2012-02-25 11:36 | 食育