この5年、毎年京丹後市へ出かけている。
はじめて行ったのは、丹後森林公園スイス村にある「風のがっこう」の冬のツアー。『かまくらを作って遊ぼう』という企画だった。 宿泊施設「風のがっこう」前に巨大なかまくらを作り、その中にビニールプールを埋めて湯を入れ、子どもたちはかまくら風呂を楽しんだ。 雪の斜面に溝を掘り、タイヤチューブで滑り降りる雪の巨大滑り台にも大はしゃぎ。町ではできない雪遊びを思いっきり楽しんだ息子は「帰りたくない」と泣いたほどだった。 以来、「風のがっこう」の自然体験ツアーには何度も参加した。 『川の源泉探検』ツアーでは、道中採った天然のワサビや山菜の天ぷらを味わったり、田んぼでドジョウすくいを体験。 『わらしべ長者大作戦』では、山で獲ったミミズをエサに、川でモクズガニを獲り、モクズガニをエサに海でタコを獲り、刺身、酢ダコ、タコ飯、タコ焼きのタコフルコースを楽しんだ。 『カッパの川流れ大作戦』では、手作りのチューブいかだで川上から海まで下り、山・川・海がつながっていて、どこかが変化すると自然も破壊されることを体感した。 ツアーの参加者はほとんどがリピーター。子どもはもちろん、大人もハマる楽しさだったが、ツアーの企画・運営を中心になってやっておられた方が異動や退職され、結局運営自体も業務委託の形になり、自然消滅してしまった。 5歳のときにこのツアーではじめてスキーを体験して以来、冬になるとどうしてもスキーだけには行きたいという息子を連れて、毎年スイス村スキー場に通っている。 ここ数年、園内にある「風のがっこう」か「山の家」に泊まっていたのだが、あいにく今年は満室や休館と重なり、泊まるところがない。 そこで、「風のがっこう」のツアーでお世話になっていた村長こと岡本さんにお願いし、宿を紹介していただいた。 今回お世話になったのは、LOHASくるみ谷という一日一組限定の古民家の宿。 くるみ谷を気に入った宿主の飯島さんが3年前に移り住み、明治37年築のかやぶき民家を改築して開いた素敵な宿だ。 「サンパチ(昭和38年)以来の大雪」といわれ、建物はすっぽりと雪に覆われていた。 黒光りする太い柱と梁に支えられた広いリビングの暖炉に火が入り、薪のいい匂いが漂う。部屋の一部は昔は「お蚕さんの部屋」だったそう。このあたりは、かつて炭焼きと養蚕の農家が多かったらしい。そういえば、丹後はちりめんの里だ。 手前のロッキングチェアは、大正時代のもの。この部屋はシアターになっており、時代を感じるこの椅子に揺られながら、目の前の大スクリーンで映画を楽しむことができる。 障子戸のガラスには山の模様。引っ掻いて絵を描いたようなガラスは、もともとこの家にあったものだそう。模様入りのガラスも今では貴重だ。 お楽しみの夕食は、新鮮な海の幸、山の幸がそろう。しかも初体験のものばかり。 奥は丹後半島近海で冬に獲れる深海魚・グラの一夜干し。ウナギのような独特の食感と風味のある美味しい魚だった。 手前右はアカモクと呼ばれる海草の酢の物。左は飯島さんが前の畑で育てた大根の煮物。 そしてメインは、ハタハタ鍋。これでもか!というほど、たっぷりのハタハタが入った鍋のだしの旨いこと! あまりの美味しさに、息子が最後にお汁にご飯を入れて食べ、「ぞうすいで食べたい!」。 このひとことで、翌日の朝食メニューをぞうすいに変更してくださった。 2日目の夜は、ミズダコの刺身に鹿肉カレーソースにつけて食べる地鶏の塩焼き。 手作りコンニャクの鶏そぼろがけ、サツマイモとリンゴのサラダなど。そして、メインはマトウダイの鍋。1日目のハタハタとまたちがう、上品なだしが旨い! 実は予約の際、連泊のため魚の鍋が続くので、「1日は鶏か何かにしましょうか?」と、飯島さんが気を使ってくださったのだが、「私たち親子は魚が大好きで、せっかくだから地の魚を食べたい」と伝えていたのだった。 京都市内ではまず口にできない、新鮮で美味しい魚や野菜。飯島さん手作りのどぶろくの試飲までさせていただき、大満足の夜だった。 3日めの朝、ボリューム満点の朝食をいただいたあと、2階(正確には3階)のタカとよばれる屋根裏を見学させてもらった。 はしごを上ると、かやを葺いた屋根が見え、太い柱が力強い。ワラ草履がかけてあったり、昔使われていた大きな釜やそろばん、背負子などの農具がそのまま置いてある。 100年以上風雪に耐えてきた古民家の息遣いを感じるようだ。 スキー三昧の3日間だったが、今年もまた丹後の味と歴史と人に触れ、新たな魅力を発見できた。今年は、何度も訪ねそうな予感がする。
by dodo-55
| 2011-02-18 13:57
| 京丹後
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