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母さんが夜なべをして…?

「母さんが夜なべをして、手袋編んでくれた」―という歌があるが、昔は縫い物、編み物などは、女の夜なべ仕事だった。家事で一日中忙しい主婦は、家族の着物や洋服を作ったり、繕ったりする時間が、夜しかなかったのだろう。
そういえば、私が小学生だったころまでは、母が新しく作ってくれたスカートは、朝目覚めると枕元に置いてあり、その日はさっそくおニューのスカートでウキウキと学校へ行った覚えがある。破れたりボタンが取れたりした服や、ゼッケンや名札付けを頼んでおいた体操服なども、やはり朝にはできていて、きちんとたたんで置いてあった気がする。

それも今は昔。縫い物、編み物もすっかり趣味の世界になってしまった。
中高生のころには、手芸や編み物が学校でも流行り、友達の誕生日プレゼントを手作りしたり、冬の通学電車で編み物をしている子もよく見かけた。授業の合間に編み物をする子もいて、「誰に編んでるの~」と気になったりしたものだ。

そんな風景も今は見かけない。
趣味で自分や子どもの服やカバンを作る人はいるだろうけれど、夜なべまでする人はほとんどいないだろう。
私はミシンより手縫いが好きで、編み物は苦手。刺繍やアップリケなどの手芸は、小学校のころから続けている。と言っても、この10年くらいは、糸と針を持つ時間はほとんどない。息子のズボンの膝に次から次へと穴が開くので、膝あての布を縫い付けるときくらいか。

100均で売っていた、アイロンで簡単にくっつく膝あてを使ってみたが、すぐに取れてしまってまったく意味がない。結局ハギレを丸く切ってまつり縫いするのが、一番丈夫だ。それでも、その膝あてもすぐにすり切れ、再度上から当て布をすることになる。
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浴衣のハギレや古くなった私のGパンの一部など、いろんなきれを使っている。
たいていは丸い形にしているので、その上から「へのへのもへじ」やハートマークを刺繍してみたり、ちょっと遊んだりもしていた。

そんなズボンを、今まで何も文句を言わずにはいていた息子だったが、最近、「母ちゃん。ハートはやめて」だの、「なんでこんな色のきれ使うの。ズボンと同じ色のにして。目立つやんか」だの、いろいろ言い始めた。
「おんなじ色のハギレがなかなか、ないねん」と言い訳をしつつ、今どきこんなに何回も繕ったズボンを嫌がらずにはいている息子に、少々申し訳ない気持ちも。

この前、大きく穴が開いた靴下を捨てようとしたら、「え~!何で捨てるん?縫ったらまだはけるやん」と怒られてしまい、靴下ぐらいえぇやん…と、繕うのがめんどくさかった私は反省させられた。
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そんな息子は最近毎晩、ミシンで雑巾を縫ってくれている。家庭科で習い始めてハマッタらしい。いつか雑巾に…と思ってためておいた古いタオルが、どんどん雑巾に生まれ変わっている。半纏着て、コタツにミシン置いて、昭和の雰囲気さえただよう、冬の夜。
坊ちゃんが夜なべをして、雑巾縫ってくれた~なのだ。
by dodo-55 | 2011-11-28 20:43 | 家事・家仕事


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