「子どもクッキング」を主催されている社協の方から、6年生の調理実習のお手伝いをしてもらえませんか、と連絡をいただいた。6年生最後の調理実習は、班ごとに献立を決め、買い物、調理まですべて自分たちでやる「まかせてね。今日の食事」という授業。
6年生の息子は「メニュ―を決めるのが、難しいねん」と、夕食のときに話していた。1班3~4人で、男の子は肉が食べたいらしいが、「肉はいや」という女の子がいたり、主菜、副菜、汁物、ご飯を作るので、使いまわしのできる食材を選んだりするのが、難しいようだ。 「ポテトサラダは決まったんやけどな」 「じゃあ、ジャガイモと玉ネギの味噌汁にしたら?」(実はこれ、息子が一番好きな味噌汁の具) 結局、息子の班は、オムライスとポテトサラダ、ジャガイモと玉ネギの味噌汁、イリコの佃煮に決まったそうだ。オムライスの中身はチキンライスだが、献立上ご飯扱いになるので、だしをとるのに使ったイリコを佃煮にして、それを主菜と位置付けたらしい。(このあたりが、家庭科の授業っぽい) 6年生2クラスのうち、息子のクラスの実習の日は仕事があり行けず。(私が行くことを、息子はいやがっていたので、ちょうどよかったかも) もう一つのクラスの方だけ、お手伝いさせてもらった。 子どもクッキングに来ている子はさすがに慣れていたが、普段まったく料理していない子でも、6年生ともなると、それなりにできている。作り方は、ネットで検索して調べてきているのも、今どきの子らしい。女の子よりも、男の子が意外にてきぱきと動いていて、洗い物なども進んでやっていたのが印象的だった。 こどもたちの作った料理はこんな感じ。 ギョーザ、野菜炒め、コンソメスープ、ご飯。 このお皿にはギョーザが写っていないが、余ったギョーザの中身をハンバーグ風にして焼いたものがのっている。ギョーザにはチーズも入れていた。 チーズ入りハンバーグ、温野菜、コンソメスープ、ご飯。 サラダではなく、温野菜にしたところがいい。温野菜と同じ野菜がスープにも入っていて、食材の使いまわしもできている。 ロールキャベツ、マーボー豆腐、味噌汁(わかめ、豆腐)、ご飯。 この班は、主菜がロールキャベツで副菜がマーボー豆腐という豪華版。調理が大変だったので、スタッフが一人ほぼつきっきりだった。 煮込みハンバーグ、生ハム巻、かきたま汁、ご飯。 生春巻ならぬ生ハム巻は、キュウリとチーズをハムで巻いたもの。ネーミングがユニーク。 チンジャオロースもどき、ポテトサラダ、味噌汁(ジャガイモ、ニンジン、キャベツ、ネギ)、ご飯 この班には宗教上の理由でお肉が食べられない子がいたので、豚肉の代わりに厚揚げを使った「チンジャオロースもどき」を作っていた。考えたね~。 オムそば、ポテトサラダ、味噌汁(ジャガイモ、もやし、ニンジン、玉ネギ、わかめ)、ご飯。 焼きそばの上にかぶせた薄焼き卵に切り目を入れて、ケチャップで模様を描くあたりがオシャレ! みんな思い思いの模様を描いていた。 並べてみて気づいたが、和食がほとんどない。味噌汁、ご飯があっても、焼き魚、和え物、煮物などはない。買い物のとき生魚は×など、食材の制約があったこともあるが、まぁ、これが今どきの食卓なのかもしれないが。それから、ハンバーグにチーズ、餃子にもチーズなど、子どもたちがチーズ好きなのにも驚いた。チーズは別に入れなくてもメニューとして成り立つのに、チーズを入れたいのかなぁ。 実習中、子どもたちに聞かれたことは、 ・‘チンジャオロースもどき’に入れる筍の水煮を切るときの大きさ ・ポテトサラダのジャガイモをどの程度つぶせばよいか? ・野菜炒めのニンジンはいちょう切り? など。 「筍の水煮は、すでに煮てあるから、炒めるときもすぐに火が通るので、大き目に切っても大丈夫」。 「ポテトサラダは、どんな仕上がりにしたいのかな? マッシュポテト状態にしたいなら、根気よくつぶす必要があるし、ゴロゴロとジャガイモが入っている感じにしたいなら、そこそそでいいし」。 「ニンジンは、イチョウ切りでも短冊切りでも。切り方よりも、厚さと大きさをそろえた方が、火の通りがいい」。 と、答えていて気がついた。子どたちは、作り方をきっちり調べて、書いてある通りに作れるのだが、「なぜ、そうするのか」「そうしたら、どうなるか」を、考えたり、やってみたりをしていない。ひたすら、作業をこなしている感じ。 確かに時間もないし、書いてある通りにやるだけで精一杯なのかもしれないが、失敗してもいいから、もっと五感を使っていろいろ試してほしいなぁと思った。 ポテトサラダに入れるキュウリを小口切りにするつもりで切っていた男の子が、「薄く切れへん」と2cmサイズに切ってしまっていた。私は「キュウリは生でも食べれるし、大きくてもえぇんちゃう?食感を楽しんだら」とアドバイスしたのだが、担任の男の先生は、「そんな大きかったらアカンやろ。もっと薄く切らな」と、小さな2cmのキュウリを持たせてさらに薄く切らせていた。小さなものをさらに切るなんて、その方が危ない。どうして、薄くなければアカンのか? もっと、臨機応変にできないものなのか…。 各班メニューや進行状態もちがう上、1皿ずつ余分に作った料理を職員室や校長室に試食用に運んだりするのにも手間取り、全員で試食するころには、ほとんどの料理(特に汁物が)冷めてしまっていて、おいしさが半減↓だったのも残念だった。熱いものは熱く、冷たい料理は冷たいうちに食べないと、せっかくの料理が台無しだ。学校には栄養教諭がおられないし、担任と主任の先生と、お手伝いスタッフ2人では難しいのかもしれないが、「とりあえず、最初から最後までやりました」的な感じがしないでもない。 いつもお手伝いしている「子どもクッキング」とはちがって、あくまで家庭科の授業なのだから仕方がないのかもしれないが、この調理実習が家で料理をするきっかけにはならないだろうし、子どもたちの記憶にはほとんど残らないだろうなと思う。 自分自身をふりかえってみても、小・中・高校でやってきたはずの調理実習で何を作ったか、どんな風にやったか、さっぱり記憶にない。やはり、強烈な印象として残っているのは、初めて一人で台所に立ったときのこと、大失敗をしたときのことだ。あとは、家の台所から聞こえてくるトントントンと切る音やぐつぐつと煮える鍋の音、そしておいしそうな匂い…だ。
by dodo-55
| 2013-01-27 17:30
| 食育
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